株式会社チェンジホールディングス(以下、チェンジHD)と子会社の東光コンピュータ・サービス株式会社(以下、TCS)、株式会社エアロネクストと子会社の株式会社NEXT DELIVERYの4社でつくる共同企業体(JV)は、2026年10月29日、秋田県藤里町の旧藤里中学校で、ドローンを使ったクマ対策の実証実験を行いました。秋田県から受託した「ドローンを活用したクマ対策」事業の一環です。

巡回から現場確認までの流れを検証
今回の実証では、クマを早期に発見し、自治体へ通知するまでのデモと、駆け付けドローンによる現場確認までの運用が検証されました。主な内容は次のとおりです。
- 物流ドローンによる巡回
- 模擬標的の確認
- 位置情報・画像の連絡
- 駆け付けドローンによる現場確認
- 遠隔ルームでの操作
使用機体は「AirTruck」と「Matrice 4T」です。なお、実証で使われた物流ドローンでは、荷物の配送は行っていません。

既存の物流運航体制に対策業務を上乗せ
背景には、秋田県のクマ被害の深刻さがあります。環境省の速報値(令和8年6月12日更新)によると、2025年度の秋田県のクマによる人身被害は67人で全国最多でした。また、秋田魁新報が2025年12月8日に県のマップシステム「クマダス」の情報を基に行った分析では、居住区域の約62%でクマが出没しています。
事業の柱となるのが「デュアルオペレーション」と呼ばれる仕組みです。NEXT DELIVERYが全国7地域で運用している物流ドローン「新スマート物流 SkyHub®」の遠隔運航体制を活用し、クマ対策専用のチームを新設するのではなく、既存の運航員・機体・管制システムに対策業務を加えます。遠隔操作は既存の運航員が担当し、現地での作業も簡易な操作を基本とすることで、専任人員の配置や新たな人材育成を抑える考えです。既存インフラを生かして新規投資を抑えながら、数か月での実装を目指しています。
さらに、1台のドローンを物流・クマ対策・防災に横断して使う「トリプルユースの運用設計」も実証しています。国土交通省(物流)、環境省(鳥獣対策)、内閣府(防災)など複数省庁の予算への適合も視野に入れ、持続可能な運用・財源モデルの構築を目指すとしています。

4社の役割分担と今後の展開
JVでは、TCSが代表構成員として秋田県や藤里町などとの調整、現地窓口、資料の取りまとめを担当します。エアロネクストは実証の企画と技術監修、NEXT DELIVERYはドローンの運航、安全管理、飛行許可の取得、運用手順の作成を担います。チェンジHDは実証データを踏まえ、社会実装や自治体への展開を支援します。
4社は、実証で蓄積したデータを、秋田県全域やクマ対策が必要な全国の自治体へ横展開するためのモデルとして活用する方針です。また、クマ対策を単なる鳥獣被害対策にとどめず、先端技術を活用した地域課題解決モデルと位置づけ、秋田県での新たな産業化や人材誘引の可能性についても検討するとしています。
今後も4社は連携し、物流で培った多数機同時運航技術を鳥獣対策や防災などの分野へ広げるとともに、ドローン技術によって人と野生動物の共存を支える社会インフラの構築に貢献していくとしています。